心臓ペースメーカー

2017年9月末に完全房室ブロックという心臓の打つ回数が少なくなる病気で心臓ペースメーカーをインストールしました。

やっと体調が上向いてきました。

自分がペースメーカーを入れるかどうかという状況になったとき、いろんな人のブログ記事を読んでとても参考になったので、私も書き残しておくことにします。

(手術など、直接的な表現があるので苦手な人は読まないようにしてください。)

【 記憶 】

振り返れば何年も前から症状は出ていたと思う。

・登山や標高の高いところで歩くのが遅くなる。

・夜息苦しくて眠れない日が増える。

・視界が暗くなる。

・本が読めなくなる。

・PMSがひどくなる。

・記憶が飛ぶ。

・頭が働かなくなる。

身体的な症状が悪くなるにつれ、精神的にも症状が出てきた。

・悲惨なニュースが心に刺さりテレビが見れなくなる。

・SNSが見れなくなる。

・人と会話していると突如変な汗が出て頭が真っ白になる。

・ネガティブな考えばかりが頭の中をグルグル回る。

・家族以外とメールや電話ができなくなる。

体調には波があり、悪くなるにつれ息苦しくて身体が重く布団から起き上がれない日が増えた。

自分は絶対にかからない病気だと思ってたけど、もしかして、うつなのかもしれないと思い始めていた。

【 入院 】

ある夜。夕飯の後、仕事場で作業していたら後頭部をギューっと掴まれるように頭痛がして呼吸が苦しくて動けなくなった。

ソファで休んでも良くならず、意識が遠のきそうになったので救急病院に連れていってほしいと主人に頼んだ。

病院の救急に着くと、健康な人間であれば1分間に60~70回はある脈拍が32回しか打っていないということで、そのまま緊急入院することに。

心臓がちゃんと打ってないから苦しいんだと判明してからは、息苦しさが波のように来るたびに心臓を励まして、心臓が止まらないように祈った。

あまり寝れずにヘトヘトで起きた翌朝、睡眠時の脈拍は28回/分まで減っていたと伝えられた。

【 診断 】

4日間かけて様々な検査をした。

・24時間心電図モニター

・運動負荷心電図

・血液検査

・心臓超音波検査

・心臓エコー検査

・レントゲン

・心臓MRI検査

そして「完全房室ブロック」という心臓への電気信号がうまく伝えられないことで心臓が打つ回数が少なくなる病気と診断された。

原因は不明。

子供の頃からの不整脈と、他の病気の可能性は限りなく低いという検査結果から先天性ということになった。

治療薬は無いそうだ。

突然死の可能性が高く、車の運転も好きなスノーボードももう出来ないと言われた。

ペースメーカーを入れれば普通の生活ができるようになるが、生涯何度も交換手術をしなければならないため若い人には勧めたくないと医師は言う。

そう言われても、好きなこともできずにいつ突然死ぬかわからない不安とともに呼吸の苦しい毎日を生きるなんて最悪だ。

入院7日目、心臓カテーテル検査。足の付け根から血管を通して心臓まで検査用のコードを入れる検査をした。

それがペースメーカーを入れられるかどうかの検査で手術は可能という結果になり「一応、明後日に手術時間はとってあります。あとはどうするか決めてください。」と医師は言った。

その時点で入れることになるだろうなと思ったけど、ペースメーカーについてなんの知識もなかったので片っ端から調べることにした。

【 心臓ペースメーカー 】

心臓ペースメーカーは心筋へ直接電気刺激を送ることで心房を動かす装置。

ペースメーカーを使う人は、誤作動しないようにいくつか気をつけなければならないことがある。

身体に電気が通ったり感電しないようにすること。

気をつけるものは

・体脂肪計

・電気風呂

・電気メス

・AED(体外式除細動器)

・電位治療器

・高/低周波治療器

そして電磁波の強いものに近づかないこと。

・IHクッキングヒーター

・IH炊飯器

・電気工具

・発電機

・溶解炉

・溶接機

・電磁石

・アマチュア無線機

・店舗の入り口にある防犯センサー

・電気自動車の急速充電器

・携帯やスマホは本体から22cm以上離す(最新ペースメーカーの場合)

バックカントリー用のビーコンについては、ペースメーカーを作っているメドトロニック社に問い合わせた。

私が使っていたマムートのビーコンはペースメーカーの真上に乗せなければ大丈夫だそうだ。

傷が治れば運動もできるし、火が好きな私はオール電化の家に住むことはない。

気をつければやっていけるだろうという事で、ペースメーカーと一生付き合っていくことを決め、手術することにした。

【 手術 】

学校の教室位の広さで、白い壁紙が貼ってある部屋の中心に手術台があり、Cみたいな形をしたレントゲンを撮るアームが付いている。

その横には大きなモニターと小さなモニターが沢山並んでデータや映像を映している。

先生と助手合わせて10人ほど人がいて、手術着の上に被曝防護エプロンを着てる。何故か迷彩柄。

自力で手術台の上に上がり横たわるとシートがかけられ手術スタート。

心臓ペースメーカーの手術は手術中に心拍を正しく確認しなければならないため全身麻酔ではなく、部分麻酔での手術。

麻酔するんだから痛くないだろうと思っていたけどメスが入ったら激痛だった。

麻酔をもっと追加してと頼む。

左鎖骨の下を切開し、血管から心臓の中に2本のコードを通し、プラグの先を心臓の内壁に打ち込み固定。

きちんとプラグが打ち込めてるかどうかコードを引っ張っているのを心臓の内側に感じる。

通電チェックで心拍を早めたり遅めたりする。人に心拍をいじられるのはかなり気持ち悪い。

チェックが終わると本体を設置する為に最初に切開した左鎖骨の下の部分を広げるようにポケットを作る。

なかなか広がらないようで助手の人がそのポケットに手を突っ込んで私の上半身が持ち上がりそうなほど引っ張ってる。

ありえない状況でちょっと面白いけど、超痛い。

そこにペースメーカー本体を設置して傷口を縫って終了。手術時間は4時間だったけど、すごく長く感じた。

インストール完了↓

手術の翌日、診察で病室に医師がやってきた。

かなり痛かったと話したら「若い人は麻酔が効きにくいんです。本当に効いてなかったら気絶してますよ。」と言われた。そういうことじゃないんだけど。。まぁ。。そうですかとしか言いようがない。

他の人がどうなのか知りたくなって昔使ってたmixiにペースメーカーコミュニティを見つけ、再登録して質問してみた。

返事をくれた人の中には痛みがあった人も若くても全然痛みが無かった人もいた。

痛くて途中から全身麻酔、痛みに弱いと主治医に伝えることで最初から全身麻酔で手術した人もいた。

麻酔の効きは肝臓の代謝力が関係してるようで、私は普通より代謝力が良かったのかもしれない。

確かに元気な時はアルコールにも強かった。(それが指標になるかはわからないが)

これから手術をする人は主治医に麻酔について確認する事をおすすめします。しっかり痛みを消してもらってください。

手術後1週間で点滴から解放され、自分の病室のあるフロア以外にも行っていいと許可が出た。

息苦しさは無くなって、血流が良くなった感じがした。突然死する事はないという安心感は相当だ。

病院の玄関まで行くことができて外の空気を吸って太陽の光を顔に浴びたとき、なんとか乗り越えたなって気持ちになった。それから数日で退院した。

【 傷のケア 】

退院後しばらくは傷口を保護するテープを貼るように言われたが、病院で勧められた「3Mのサージカルテープ」はすぐ肌が痒くなってしまった。

色々探して帝王切開した女性のために開発された「アトファイン」という手術後のケアテープに落ち着いた。

入浴後にテープに濡れた感じが残らず、痒くなりにくい。引き延ばしに強くてケロイド防止になる。

縫った傷のカサブタが少し乾燥して痒くなってきたら「アトファイン」を貼る前に「サンホワイト」という白色ワセリンを綿棒で細く傷の上に塗って保湿すると少し良くなった。

馬油も使ってみたが、テープは数日間貼っておくので酸化しない高精製ワセリンの方が刺激が少ないように感じた。

ペースメーカー本体を入れた場所が動くとピリッとした痛みがしばらくあったが、1ヶ月ほどで良くなった。

【 不調 】

約3ヶ月もすれば左腕に極端な負荷をかけなければ普通に生活できると言われていた。

だが、退院して家に戻ってからも、少し動けたと思ったら寝たきりになるというのを繰り返し、何度かパニック発作を起こして救急搬送された。

最初はパニック発作ともわからず、動悸と呼吸の苦しさが最初に病院に運ばれたとそっくりで、

「やっぱり死ぬのかな。」

と何度も思った。

病院に着いて点滴をしてもらい、しばらく休んでいると少し良くなったが、発作を起こすとで身体はヘロヘロになった。

「体調が良くなりません。発作が起こります。」

と主治医に話しても

「検査結果に問題はなく、健康ですよ。」

と精神安定剤のデパスが処方された。

これで健康なはずがないと全然納得いかなかったが、

「新しいペースメーカーが出るのを待つしかないですね。」

と言われたことで、ここの病院で出来ることはもう無いんだと理解した。

【 オーソモレキュラー分子栄養医学療法 】

手術後良くなったのは、酸欠が解消されて本が読める様になったこと。

きっと何か他の手があるはずだと、ひたすら色んな療法の本を取り寄せては読み、良さそうであれば試した。

私の発作がパニック発作かもしれないということも本から知った。

そして今年の8月頃、オーソモレキュラー分子栄養医学療法にたどり着いた。

オーソモレキュラー分子栄養医学療法(以下、オーソモレキュラー )は、医師の診察と血液検査に基づいて食事療法とメディカルグレードのサプリメントを使用して身体に負担なく根本的に不調を治していく治療方法。

自由診療なので行くのを少し躊躇ったが、夫が後押ししてくれて新宿溝口クリニックへ行く事になった。

手術した病院の血液検査結果を診てもらうと、私の身体のタンパク質量が院長の溝口先生も見たことない低い値だったようで「よく生きてましたね。」と驚かれた。

手術と発作の話をすると、先生は色々なことを話してくれた。

・体内の栄養はストレスや麻酔の解毒によって大量に消費される。

・栄養欠乏がパニック発作やうつなどの起因となる。

・糖質中心の食事による血糖値異常がうつ症状を引き起こす。

・月経のある日本人女性のほとんどが鉄欠乏。

さらに私が不調を良くしたいと試したベジタリアン食、マクロビ食、玄米食、一汁一菜で、鉄不足、タンパク質不足、コレステロール不足にトドメを刺してしまったらしい。

やっと不調の原因にたどり着いた。

その日から甘いものと糖質をやめ、吸収の早い肉や魚の動物性タンパク質を多く摂る食事に変え、サプリメントで栄養を補う治療をはじめた。

最初はお肉が全然食べれなかった。タンパク質欠乏の身体だと消化酵素も作れなくなるそうで、サプリメントの消化酵素を併用してなんとか食べた。

甘いものや糖質への依存も血糖値が安定するまではなかなか抜けず、甘いものが食べたくて仕方がなかったが、1週間なんとか我慢したら渇望感が減っていった。食事は夫と母が作ってくれた。

1ヶ月後に詳細な血液検査の結果がでると、

・タンパク質欠乏

・鉄欠乏

・各種のビタミン欠乏

・ホルモンバランスの乱れ

・血糖値異常

・小麦粉アレルギー

と、さらに詳細な体調不良の原因が判明したが、食事と栄養療法で良くなっていく内容とのことだった。

今、オーソモレキュラーを始めてから4ヶ月。暗かった視界が明るくなってきて、身体が暖かくなってきた。人と話すときはまだ少し喉がつっかえる感じはあるが、頭が真っ白にはならなくなった。

タンパク質量や鉄分が増えるのには時間がかかるので、まだ体調には波がある。

初対面の人や人混み、長時間の集中はその後回復に数日かかることもあるが、短い時間なら作業も再開できるまで回復してきた。

少しでも良くなっていっているというだけで気持ちは晴れやかだ。

【おわりに】

全部引っくるめて、私への大きなギフトだったと今は思える。

素晴らしい夫と家族に助けられて、

「あー幸せだな、生きてるのって奇跡だな。」

ってナチュラルに感じられるし、沢山の新しい知識はこれからの人生でも役に立つことばかりだ。

それに、この体験を乗り越えたんだから多少の事はどうって事ないと思えるようになった。

過去の記憶が戻ってくるかは微妙だけど、未来がある。

回復すればこれからもこの地球で遊べるというのが楽しみだ。

まずは楽しくリハビリする方法を計画中。

みなさんの健康と幸せを心から願ってます。

どうぞ良いお年をお迎えください♡

PS.クロは元気です。

BIGLOVE

XOXOXO

yukachill

Days | 2018.12.29